EDP+
  • EDP+
2022/03/29Solution

戦略コンサルの新しい活動における、映像表現の可能性

戦略コンサルティングファームとして多くの企業にコンサルティングサービスを提供する株式会社ローランド・ベルガー様が大切にする「人との繋がり」を映像で表現しました。コンセプトという数値化できない要素を伝える手段にモーショングラフィックデザインを用いるメリットを知るため、同社パートナー福田 稔様とEDP担当ディレクター加藤 貴大と池田 大にインタビューを行いました。

ーローランド・ベルガーの事業内容について教えてください。


ローランド・ベルガー 福田 稔様(以下福田)

ローランド・ベルガーは戦略コンサルティングファームになります。その中で私がリードしているコンシュマーチームは、主にアパレルや化粧品などの消費財小売領域いわゆるBtoCのクライアントに対し、戦略策定のお手伝いをしています。お客様それぞれにカスタマイズしたコンサルティングサービスを提供しているので戦略といっても毎回テーマは異なります。

ー弊社がローランド・ベルガーのブランドムービーに携わったきっかけの一つに、価値共創ネットワークがあると伺っています。価値共創ネットワークとはどのような取り組みかご説明いただけますでしょうか?


福田

DX推進やデジタル戦略を作って欲しい企業や、クリエイティブ面の相談などコンサルティング会社に求められるケイパビリティも年々拡大傾向にあります。そういった需要にコンサルティングファームが応える方向性としては2つあり、1つは他社を買収しながらリソースを内製化して拡大していくパターン。もうひとつは、我々が現在進めているようなクリエイティブやAIなど必要な分野に強みを持つスタートアップをネットワーク化して、協業プロジェクトによって価値提供していくというパターンです。EDPさんにも2020年9月から価値共創ネットワークに参画していただいてます。O0uの映像を作るとなった際に、同じく価値共創ネットワークのKESIKIさんからEDPさんを紹介いただいたのがきっかけですね。その際にモーショングラフィックデザインは何なのかということを知り、映像の表現方法として非常にユニークで魅力的だと感じたため、価値共創ネットワークに参画いただきました。


EDP graphic works 池田 大(以下池田)

参画のお誘いをいただいたのがちょうどEDPが変革するタイミングでした。何をどうアピールしていくべきか模索している時期で、モーショングラフィックデザイン自体が武器になるという認識がいまいち持てていませんでした。ですが、価値共創ネットワークに参画される会社の特化した技術を拝見したことで、自分たちの技術も活かせるんじゃないかと思うようになりました。

ー価値共創ネットワークは具体的にどのような活動をしていますか?


福田

価値共創ネットワークの中から数社をお招きし、定期的に関係を深めていただいています。それぞれの領域で尖った強みをもつ企業同士がプレゼンをすることで、情報交換にもなりますし、共創の基盤を作っていただくことができます。EDPさんはクリエイティブデザインの領域で参画いただいており、我々が何かアウトプットを作成する際にご相談しています。


EDP graphic works 加藤 貴大(以下加藤)

以前参加した際に、EDPはサービス紹介映像を持っていきお見せしました。この映像もEDPについて積極的に社外にアピールをしていく試みの一環として作ったもので、最初はスライドなどの紙資料を作ろうとしていましたが、「映像がいい」と謳う会社なので紙資料よりも映像で説明しようとなりました。

サービス紹介映像

ー今まで御社のコーポレイトブランディングに映像を用いたことはありましたか?


福田

今回が初めてになります。戦略コンサルティングファームの中で、自社のブランドムービーを作っている会社は他にないんじゃないですかね?

これまでコンサルティングファームはベールに包まれているような部分があり、そこに価値が見出されていましたが、トランスパレンシー(:透明性)が世の中的に求められる今日、コンサルティングファームもどういう仕組みでどういう価値を提供していくのか見せるべきだと思っていました。その中で、価値共創ネットワークのような、理解するのに説明が必要な取り組みを、どうしたら直感的に伝えられるかということを考えていました。そういった時に、EDPさんのプレゼンを受け、会社紹介を映像コンテンツにしたら、よりわかりやすく、多様な人に理解していただけるんじゃないかと思ったのが今回ブランドムービーを作ったきっかけですね。


池田

モーショングラフィックデザインがいいとなったのはEDPのサービス紹介映像の影響が大きいですか?


福田

そうですね。価値共創ネットワークのコンセプトについて伝えていく映像で考えていたので、実写よりも、表現の自由度が高く色んな線と形の組み合わせで表現できるモーショングラフィックデザインが適していると思っていたのがひとつです。実写と比較した場合のコストパフォーマンスの良さも魅力でした。

ーどのように映像を作っていきましたか?


福田

O0uのブランドムービーを作った時とは異なり、最初はどういう表現方法が適しているのかなど完成形のイメージがありませんでした。なので、弊社についてご説明をしてそのあとは結構お任せしてしまいましたね。


加藤

デザインを決めていく過程では、最初異なる2パターンのデザインを提案し、その後はお話を伺いながらチューニングをしていきました。完成形ではローランド・ベルガーさんの人との繋がりを大切にしている風土を表現するため、人物のイラストや動きで暖かみが出るように意識しました。

ー実際に映像を作ってみていかがでしたか?


福田

すごく面白いなと正直思いました。冒頭の「ローランド・ベルガーはいくつもの声でできている」というところに、我々が大切にしている多様性であったり、価値共創ネットワークについてが集約されていてクリエイティブだなと思いましたね。


池田

最初にローランド・ベルガーさんの強みや特徴を直接伺っており、コピーにしっかりと反映されていたので、映像のテーマはブレなくイメージをし続けることができましたね。それもあり、実際にどのような絵をつけていくかとなった段階でも、あまり迷うことなくスムーズにできました。


福田

私も、極めてキャッチボールがスムーズで、こちらの意図していることを汲み取ってクリエイティブに落としていただいたという印象です。大学生とか、コンサルティング会社に入りたいけどどの会社がいいかわからないと思っている人にも、非常にわかりやすい映像になったんじゃないかと思います。

実際に社内で見せた時も評判がよかったですね。


加藤

作り始めるまでにしっかりとお話しすることができたので、結果クリエイティブもうまいところに着地できたんだと思います。

ーコンサルティングの視点から考えた時、モーショングラフィックデザインは今後どういったところで活用できるとお考えですか?


福田

O0uの立ち上げがそうでしたが、公開されているコンセプトムービーの前にコンサルティングのフェーズで、EDPさんに映像を作っていただくステップを踏んでいます。新規ブランドの立ち上げプロジェクトでは、コンセプトを説明する際に、100ページ以上のレポートよりも映像の方が伝わりやすいと感じたからです。ブランドの必要性を訴えるためには、数値的な側面からのアプローチの他に、映像を使用しエモーショナルな部分に訴えることが効果的だと思います。今後はもっとブランド戦略のプロジェクトや新規ブランドの立ち上げ、コーポレイト内のインナーブランディングにもモーショングラフィックデザインは使っていけると思います。

表現の自由度が高いモーショングラフィックデザインは、見るひとに直感的に理解、共感を促す事ができます。ブランドムービーは自社の強みやコンセプトを伝えるだけでなく、他社との差別化にも役立ちます。映像での表現に悩んでいる方、ブランドを表現したいと考える方、モーショングラフィックデザインを活用してみませんか?

福田 稔(ふくだ みのる)

株式会社 ローランド・ベルガー パートナー


慶應義塾大学商学部卒、欧州IESEビジネススクール経営学修士(MBA)、米国ノースウェスタン大学ケロッグビジネススクールMBA exchange program修了。電通国際情報サービス(ISID)を経て2007年ローランド・ベルガーに参画。

アパレル、化粧品、ラグジュアリー、小売、ネットサービスなどのライフスタイル領域を中心に、グローバル戦略、ブランド戦略、D2C、DX推進、サステナビリティ戦略等の立案・実行に豊富な経験を持つ。東京オフィスの消費財・流通プラクティスのリーダー。

 

経済産業省ファッション未来研究会委員副座長。同省主催「服づくり4.0」をプロデュースし、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS 「クリエイティブイノベーション部門」ゴールド賞受賞。シタテルやIMCFの社外取締役を務めるなど、業界の革新を促すスタートアップに対する支援も行う。

近著に「2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日」(東洋経済新報社)、共著「2030年ビジネスの未来地図 これからを生き抜くための戦い方」(PHP研究所)他、生活者、B2C、サステナビリティ関連の寄稿・講演多数。

Interviewee     加藤 貴大池田 大 (EDP graphic works Co.,Ltd.)

Photo     谷口 大輔

Text     大野 泰輝、柴田 綾乃 (EDP graphic works Co.,Ltd.)