個性の尊重と新しい表現への挑戦
EDP graphic worksのデザイナーに迫っていく企画「Designer’s Interview」の第四弾は、2Dのグラフィックやイラストを使用した映像を武器とするディレクター 稲田 開。EDPでの働き方や、ディレクターとして心がけていることを聞きました。
稲田 開(いなた かい)
Director / Motion Graphic Designer
鳥取県生まれ。靴のデザイナーを経て、2018年に入社。2Dのイラストやグラフィックを使用した柔らかな雰囲気の映像を得意とする。近年では「galbo TVCM 」、「ドバイ万博 日本館PRムービー 」、「HiTTOサービス紹介ムービー」などを手掛ける。
デザインに対する気持ちの変化
ーEDPに入社するまでの経緯を教えてください。
EDP graphic works 稲田 開(以下稲田)
前職ではアパレル業界でデザインをしていたのですが、そこではロングセラーや流行など、マーチャンダイジングを重視したデザインを求められていました。そのうち自らのアイディアをダイレクトに表現したいと思うようになり、売り上げに直結するアパレルデザインより、人々の感性に訴えかける広告デザインの方に魅力を感じるようになりました。そんな時にEDPの求人を見つけ、テレビや街中で目にしたことのあるクオリティの高い映像作品を多く作っているデザインスタジオだと知りました。EDPについて調べるうちに、それまで漠然としていた「やりたいこと」が明確になったので、「今しかない」と思いすぐに応募をしました。映像や広告デザインのノウハウは何もありませんでしたが、アパレル業界でのデザイン経験とデザインに対する思いを認めていただき採用してもらいました。
ー実際に入社し、デザイナーとして働いてみて印象はいかがでしたか?
稲田
未経験スタートということでとにかく技術を叩き込んでいく毎日でした。配属されたチームでは、経歴に関わらず平等にデザインを提出する機会があったので、同期に負けないよう必死の想いでデザインを出していました。とにかく必死でしたがそれがとても楽しく、やりたいことはこういうことだったんだという実感も持てました。
新しい表現への興味が柔軟性に繋がる
ーデザイナーとしての自身の強みはどういったところだと思いますか?
稲田
自分で特にこういうところが強みという意識はないですね。常に新しい表現が気になっていてその時々で挑戦したいことが変化するので、一度やった表現はなるべくやらないようにしています。常に新しいことに目を向けながら、クライアントにとってプラスになるデザインを考えることで、どんなクライアントの要望にも柔軟に応えて、質の高い映像を作れるのではないかと思います。
チーム全員がコミットしてくれるための努力
ーディレクターになった経緯を教えてください。
稲田
デザイナーとして仕事をしながら、ダブルチーフとして当時同じチームに所属していた奥田さんと一緒にチームの管理を任されました。奥田さんは主にプロジェクトの管理を、私は所属するデザイナーへのアドバイスやプロジェクト管理のサポートを主に担当していました。その後、池田さんのチームに異動しクライアントとの打ち合わせに同席させていただいたり、映像のディレクションを任せてもらったりしながら、ディレクターとしての必要なスキルなどを学びました。作品全体のトーンをコントロールしていくことのプレッシャーもありましたが、それ以上にやりがいを感じていました。「codopo」はその頃にディレクターとして担当させていただいたプロジェクトで、キャッチーなサウンドとモーションが今でも気に入っています。その後、2020年秋より、ディレクターとしてチームを率いるようになりました。
ーディレクターとしてチーム運営をする中で意識していることはありますか?
稲田
これまでは、いちデザイナーとして自分のデザインをどうしたら使ってもらえるか、と考えることが多かったですが、現在はどうしたら自分のチームに所属するデザイナーが活躍できる環境を作れるかを考えるようになりました。そのためにも、コミュニケーションが取りやすい雰囲気を作り、所属するメンバー全員がデザインを行いクライアントに提案するようにしています。そうすることで、全員が積極的にプロジェクトに関与してくれるようになり、より良いアイディアが生まれ最終的な映像のクオリティの高さにも繋がっています。
ークライアントの方と話をする際に意識をしていることはありますか?
稲田
どういったことを求められているのか、完成形のイメージがどの程度できているのかを把握するようにしてます。クライアントが完成形をある程度イメージできている場合には、その完成形をベースに、デザインやモーションでブラッシュアップできることがあれば提案していくようにしています。逆に、「HiTTO」のように文字ベースで伝えたいことのみが決まっていて、映像については任せていただけるようなプロジェクトの時には、ミーティングを重ね、製品やサービスの持つ世界観をビジュアルで的確に表現できるようにしています。HiTTOは、デザインのトーンから音楽やナレーションのディレクションまで包括的に担当できたので、チームのカラーがよく出せた映像ですね。
世の中に洗練された映像を増やす
ー今後どういったプロジェクトに挑戦していきたいですか?
稲田
実写映像のディレクションやコピーライティングにも挑戦し、スキルアップしていきたいと考えています。また、「アート建工 採用 TVCM」のようなローカルCMの案件を増やしていきたいです。ローカルCMは一般的に予算が限られていることも多く、親しみやすい雰囲気のCMが多い印象ですが、アート建工は映像全体にモーショングラフィックデザインを使用することで、ブランディングを兼ねたデザイン性の高いものにすることができました。モーショングラフィックデザインなら実写と比較し、コストカットをしながらもインパクトのある洗練された映像が作れると考えています。一地方出身者として、ローカルCMを皮切りに、世の中のあらゆる場面で洗練された映像をもっと増やしていきたいと思います。
稲田
EDPのデザイナーはイラストが得意な人や3DCGが得意な人、音楽を作れる人など特定の分野に長けている人が多いです。ディレクターとしてそのような人の個性を伸ばしていきたいと思いますし、それがクライアントへの提案の幅の広がりや、期待以上の成果物を作り出すことに繋がると考えています。
映像を作る目的は千差万別ではないでしょうか?弊社ディレクター稲田は、プロジェクト全体を俯瞰で見ながら目的に合った柔軟な提案力と、新しい表現を試みるチャレンジ精神を持ち合わせています。ヒアリングを重ね伴走するからこそ表現できる、ブランドにあった映像をEDP graphic worksと一緒に作りませんか。
Interviewee 稲田 開 (EDP graphic works Co.,Ltd.)
Photo 谷口 大輔
Text 大野 泰輝
柴田 綾乃 (EDP graphic works Co.,Ltd.)