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2022/07/07Column

デザインを使って何しよう?!- 多種多様な個性あふれるEDP graphic worksのデザイナー [2/2]

イラストを得意とするデザイナーに焦点を当て、「イラストにかける思い」を紹介するEDP+の第二弾。今回は、さまざまな案件で個性豊かなイラストを手掛けてきた、EDPデザイナー宮内 いずみ、髙橋 伺穏が登場します。

第一弾はこちらからご覧ください。

宮内 いずみ(みやうち いずみ)


Motion Graphic Designer

多摩美術大学にて油画を専攻。卒業後、番組制作会社を経て、2020年にEDPに入社。アートを学んだ経験を活かし、一風変わった個性的なデザインを多く手がける。

ーEDPに入社するまでの経緯を教えてください。


EDP graphic works 宮内 いずみ(以下宮内)

大学では油画を専攻していました。油画を学ぶうちに、現代アートに興味を持ち、作品についてより深く理解できるよう、作られた時代や社会背景、また現代思想や、政治、歴史、文学など幅広い分野を横断して学びました。

4年間私なりに創作活動を続け、世の中で活躍している学者やクリエイターに直接会い、生の声を吸収したいと考えたため、卒業後は番組制作会社に入社しました。番組制作に関わる中でお会いしたグラフィックデザイナーの高田唯さんの「デザイナーは社会問題も考えるべき」という姿勢に、アートとの共通点を感じグラフィックデザインに興味を持ちました。グラフィックデザインについて調べる中で、街中には映像を使用した広告が多く、今後は映像の需要が増えていくと感じモーショングラフィックデザイナーを志しました。自分のこれまで培ってきた知識や、平面を作る上での色彩感覚を活かせると感じ、EDPに入社しました。


ーご自身のデザインが活かせた作品について教えてください。


宮内

選挙前に社会課題を調べる中で気になったトピックのひとつ、「海洋プラスチックゴミ問題」をテーマにしたグラフィックです。“30年後には魚よりプラスチックゴミが多くなる“という事を知り、衝撃を受けました。こういったトピックは文字やリアルな描写で伝えられることが多いですが、モーショングラフィックデザインで表現することで、今まで興味を示さなかった人にもわかりやすく、また面白く伝えられるのではないかと思います。

宮内

「Go to Eat キャンペーン」は、私がEDPに入って初めて全体のアートディレクションを担当した作品です。提案したデザインは、自分の手癖や好みが強く残ったものだったので、選出された時は嬉しかったとともに驚きもありました。大学時代に学んだ油画の自由な線や色味を活かした絵作りで、賑やかで私らしい作品にできました。

  • Go To Eat キャンペーン

ー既存のサービスや製品をデザインする上でこだわっていることはありますか?


宮内

クライアントの希望するテイストなどの要件をフックに、案件ごとに私自身も知らなかったような新しい表現に出会えるようにしたいと思っています。綺麗にまとまりすぎて印象が薄いデザインだと面白くないと感じるため、どこかの要素をうまくズラしたり壊して記憶に残るデザインをしたいと思っています。

TeamSpiritのコンセプトムービーと商品説明ムービーでも、全ての要素を綺麗に整えるだけでなく、愛着が湧くようなまん丸の猫やクマのぬいぐるみ、少しいびつな花瓶を画面の中でリズムを意識して配置することで、クリーンさと親しみやすさを両立したデザインにしました。

ーEDPでデザインしたイラストにモーションをつけるのと、いただいたイラストにモーションをつけるのにはどのような違いがありますか?


宮内

先方からいただいたイラストにモーションをつける場合は、すでに作品全体の方向性が決まっていることが多いので、要望に寄り添いながら内容を伝えるための最適な動きは何か考えながらモーションをつけます。デザインから担当したものにモーションをつける際は、モーションのことも考えながらデザインできるので一つの映像作品として完成度が高いものになっていると思います。


ー今後どのような作品に挑戦していきたいですか?


宮内

教育系の映像に携わりたいです。さきほどの海洋プラスチックゴミ問題もそうですが、モーショングラフィックデザインを使うことで格段にわかりやすくなる テーマはたくさんあると思います。また、社会課題の解決に取り組む企業やアーティストさんと一緒にお仕事ができたら嬉しいです。ラッパーのあっこゴリラさんには共感することが多いので、いつか一緒に仕事をしてみたいです。

髙橋 伺穏(たかはし しおん)


Motion Graphic Designer

山形県生まれ。自身のグラフィックデザインを使用したシルクスクリーンでのTシャツの作成などマルチに活躍。アナログなイラストを使った、ユーモアのあるデザインを得意とする。

ーEDPでデザイナーとして働くまでの経緯を教えてください。


EDP graphic works 髙橋 伺穏(以下髙橋)

大学では教育学部にて美術について学んでいました。在学中に、地元のスケートボードショップでTシャツを作らせていただく機会があり、そこで初めてシルクスクリーンを知りました。出来上がるデザインのアドリブ性や、自分がデザインしたイラストが形になるということが嬉しく、絵画とシルクスクリーンを本格的に勉強し始めました。得意なイラストを活かせる仕事がしたいと考え、大学卒業後EDPに入社しました。入社当初からリモートワークで、最初は漠然とした不安もありましたが、ミーティング終わりなどに雑談をするなど、自然とコミュニケーションができる環境なので現在は楽しく地元の山形県で勤務することができています。


ーご自身のデザインが活かせた作品について教えてください。


高橋

インスタグラムに掲載しているこのセルフポートレイトは、あえて色数を絞りディテールを削ぎ落とすことで、現実と空想の中間のような雰囲気になるようにしました。デジタルブラシでの描画はPhotoshopなどを使う方も多いですが、愛着がありIllustratorを使用しデザインしています。

髙橋

TOYOTA SDGs movieの案件も同様に、リアルな描写の中にファンタジーな要素を入れ込むことができた作品です。この作品は、TOYOTA車が99%リサイクルされていることを伝えるためのコンテンツの1つで、このGIF画像では、車がリサイクルに出されてから新しい車に生まれ変わるまでを一目で理解してもらえるものになっています。取り組みについて説明をしながらも、コンテンツとしての面白さを出せるように、本来であれば無機質である工場にキャラクター感のある動きがつくようにイラストをコマ描きしました。

ー既存のサービスや製品をデザインする時に意識していることを教えてください。


髙橋

デザインをクライアントの方に提案する際には、こちらの持ちうる最大限のユーモアを込めたデザインにするようにしています。もちろんダメだと返される時もありますが、他の映像作品でもちょっとした小ネタに「クスッ」とすることがあるので、私の作る映像にもそういった要素を入れられたらと思い提案するようにしています。TOYOTA COROLLA anniversary movieでは、ハリウッドのサインにオマージュされたTOYOTAの看板が採用され、後から見返して自分でも楽しめるような要素は、クライアントからも好評をいただくことが多いです。

ーEDPでデザインしたイラストにモーションをつけるのと、いただいたイラストにモーションをつけるのにはどのような違いがありますか?


髙橋

デザインをご用意いただく場合、そのブランドやサービスを体現したデザインになっているかと思いますが、動かすことが想定されていないようなイラストだと、足りない部分をEDPで補完をする必要があります。元のデザインのニュアンスを崩さないよう補完をするため、どうしてもぎこちないモーションになってしまいます。クライアントの要望をお伺いしながらEDPでデザインをする場合、映像にした時にブランドのイメージが最大限に表現できるかと思います。


ー今後挑戦していきたいことについて教えてください。


髙橋

クライアントワークでも、Illustratorのブラシで描いたアナログなイラストを素材にして映像を作りたいと思っています。また、学生時代に学んだシルクスクリーンについても更に極めていきたいと考えています。自分のデザインしたグラフィックがTシャツとして形になることにやりがいを感じますし、Tシャツであれば実際のアート作品よりも手軽に購入ができ、グラフィックデザインをより身近に感じてもらえるのではないかと思ってます。

こだわって作った製品・サービスの世界観や概念を視覚化することに、難しさを感じている方も多いのではないでしょうか?EDPには、バラエティ豊かなイラストでサービスの世界観を表現するデザイナーが全国で多様な働き方をしています。見る人の心を惹きつけるイラストで、サービスの世界観をオリジナルに表現しませんか。

Photo      谷口 大輔

Text         大野 泰輝